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「旧釧路川」って何だったのよ?── 海風うれし幣舞の橋

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さえき奎
海風うれし幣舞の橋「海風うれし幣舞の橋」 夜の幣舞橋を上流側から望む。橋の向こうは釧路港、その先は太平洋だ。
出典:イワンa氏撮影によるこの作品は写真ACから提供されています。

肩寄すれば黒髪揺れて頬なづる海風うれし幣舞ぬさまいの橋

 釧路市の観光スポット、またシンボルとして観光客や市民に親しまれている幣舞橋は、原田康子の『挽歌』や小畑友紀の『僕等がいた』にも登場する美しい橋だ。俺は高校時代、毎日のようにしーちゃんと並んでこの橋を渡った。
 この橋の下を流れる川は、現在は本来の名称である「釧路川」と呼ばれているが、俺としーちゃんが通っていた頃はその名称ではなかった。何と「旧釧路川」なんてふざけた名称で呼ばれていたんだ。釧路川は、屈斜路湖にその源を発して蛇行しながらゆったりと南下、幾度となく氾濫を繰り返すことによって釧路湿原を産み出し、さらに南下して太平洋へと注ぐ全長124kmの河川だ。高低差が少ないことが幸いし、本流にはダムはおろか取水堰すら設置されていないことで知られる数少ない一級河川だ。それが何故「旧釧路川」などと呼ばれるようになったのかWikipediaの記事を引用してみる。

釧路川は釧路港に大量の土砂を運び込み、たびたび洪水も起こしていたため、1931年に岩保木水門から分水路を開削し、これを「新釧路川」とした。1967年に一級河川の指定を受けた際分水路を幹川と認定したため、北海道開発局が管理することとなった分水路を「釧路川(新水路部)」とし、引き続き北海道の管理下に置かれたかつての下流部を「旧釧路川」とする名称変更を行った引用:「釧路川」(2019年3月21日 (木) 14:11 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』(抜粋)


 治水事業は当然のことであるし、それに異論を差し挟もうというのではない。役人としては役人なりに理屈が通っているつもりなんだろうし、分水路によって元の釧路川の流れが失われたり細流になってしまったというのならまだわかる。しかし、上掲の写真を今一度見てほしい。この川は全長124m(この数字は奇しくも釧路川の全長の1/1000である)の大きな橋の下を蕩々と流れているのだ。釧路市民は、慣れ親しんだ釧路川に「旧」の烙印を押されることを断じて容認せず、元の名称に戻すよう道や国に対して粘り強く訴え続けた。その甲斐あって平成13年(2001年)4月5日に国土交通大臣の告示により、それぞれ「新釧路川」「釧路川」の名称に戻された


釧路市役所(釧路市の文字の下の○印の位置)を挟んで東または南側が現「釧路川」、西または北側が「新釧路川」だ。
幣舞ロータリー・幣舞橋・北大通り
幣舞公園(この公園のすぐ西側が出世坂だ)から見た幣舞橋。橋の向こうへ続くのが釧路駅へ向かう北大通り。手前は6差路の幣舞ロータリー。
画像出典:「幣舞橋」(2018年6月14日 (木) 07:06 UTCの版)『Wikipedia日本語版』
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス MIdori氏 を著作者とするこの作品は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。

 実は似たような例は他にもある。有名なのは紀伊半島を流れる「熊野川」だ。この名称は、長期に渡る住民の要望がようやく認められて、平成10年(1998年)に法定名称が「熊野川」と改称されるまで「新宮川」が正式名称だった。歴史的にも、流域の住民からも一度たりと呼ばれたことのない「新宮川」という名称がずっとゴリ押しされていたという訳だ。しかし、法定名称が変更された現在でも、河川水系の名称としては依然として「新宮川水系」のまま残されている。いかにも役人らしい往生際の悪さだが、この件はどう考えても悪意でやっていたとしか思えない例だ。まだある。四国の「四万十川」もかつては「渡川」というのが正式名称だった。それも河口付近がそう呼称されていたという、単にそれだけの理由で河川全体の名称を渡川にしてしまったからだ。
 河川の名称に限ったことではないが、役人の発想や考え方ってどうして市井の人間とここまで乖離しているんだろうか。あくまでも上から目線で「下々の呼んでること、やってること、望んでいること」は可能な限り排除するように努めなければならない、なんて「裏の内規」でも存在してるんじゃないかと勘ぐられても仕方ないだろう(笑)。
 何はともあれ今も釧路川は、幣舞橋の上で海風に揺れるしーちゃんの黒髪が俺の頬をなで、その香(かぐわ)しさに心臓が止まるんじゃないかと思ったあの時と何も変わることなく蕩々と太平洋に注いでいる。

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さえき奎
Posted byさえき奎

Comments 6

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さえき奎
さえき奎  
Re: 橋の向こうは釧路港♪

がちょーさん、今晩は。いつもどうもです。

> 橋の向こうは釧路港ですか~

そうなんです。幣舞橋は北海道の三大名橋の一つで海に沈む夕陽も見られます。雰囲気のあるところですよ。

> 北海道にまた行きたくなりましたね

北海道といえば何と言っても道東に尽きます。是非是非道東へお出かけください。その際は、元祖である和商市場の勝手丼とまるひらのラーメンをお忘れなく(笑)。

2019/07/16 (Tue) 19:50 | EDIT | REPLY |   
がちょー  
橋の向こうは釧路港♪

橋の向こうは釧路港ですか~
むかし、家族旅行でスノーザンホースパークや石原裕次郎記念館、
サッポロビール園なんか行った事が思い出されましたよ^^

北海道にまた行きたくなりましたね
ハーブ園なんかも行った記憶がありましたよ。

2019/07/16 (Tue) 18:02 | EDIT | REPLY |   
さえき奎
さえき奎  
Re: タイトルなし

黒ゆとりさん、今晩は。今宵もちょいと寝落ちしてしまいました。空酒はよくないですね(笑)。

> ううう、しーちゃんさんのことが気になり続けて仕方ない……。

いつも気にかけていただき、ありがとうございます。うれしいです。正直言うと、しーちゃんのことを書くためだけにこのブログを始めたようなものですから(笑)。でも「さん」なしの「しーちゃん」でいいですよ(笑)。

> でも、人でも物でも、数回話したくらいじゃどんなんだか分かりゃしないんですよね。
> 積み重ねないと形が見えてこない。
> それによって愛着って生まれるんでしょうか。

小説の登場人物なんかはまさにそのとおりですね。作者の分身であり、書き続けることによってどんどんキャラとかアイデンティといったものが確立して、読む人の心の中の存在感が確かなものになって行く・・・その結果、登場人物を介在させて書き手と読み手のコミュニケーションが成立するんですね。

> 私は最近、自分で作ったおはなしの中の人達が好きでたまらなくなっちゃいました。
> 描けば描くほど色々見えてくるなんて、自分で作ったくせに、不思議ですよね。

わかります。自分もたきちゃんとさわちゃんに対してどんどんそうなっていますから(笑)。

2019/07/16 (Tue) 02:19 | EDIT | REPLY |   
黒ゆとり  

ううう、しーちゃんさんのことが気になり続けて仕方ない……。
でも、人でも物でも、数回話したくらいじゃどんなんだか分かりゃしないんですよね。
積み重ねないと形が見えてこない。
それによって愛着って生まれるんでしょうか。
私は最近、自分で作ったおはなしの中の人達が好きでたまらなくなっちゃいました。
描けば描くほど色々見えてくるなんて、自分で作ったくせに、不思議ですよね。

2019/07/16 (Tue) 02:03 | EDIT | REPLY |   
さえき奎
さえき奎  
Re: こんばんわ~

ねこニャン’19さん、こんばんは。いつもありがとうございます。

> あ~お役所的なの!!
> 昔住んでいた町名にそんな感じのことがありました。

町名でもありますね。元々役所のセンスってめちゃくちゃなところへもって来て民意と乖離した選択するからたまんないですよね。「南セントレア市」なんて出来なくてよかったですよ。余所のことながらハラハラしながら状況を見守っていました(笑)。

> 住民は『かき○○町』と言っているのに、役所は『がい○○町』って表示してました(;^_^A
> 何なんでしょうね?

あー、面白そうな話ですね(笑)。奥秩父方面の地名などを調べてみると、役所が正式な地名を決める際に地元の古老に聞き取り調査などをするんですが、記憶が曖昧だったりして地名ってけっこういい加減な経緯で伝承されていたりするんですよ。本来「大祭沢」(オオマツリザワ)だったものが漢字がわからなくて「オオマツリ沢」になり、伝承されて行くうちに「オアツマリ沢」になってしまうかとか、こうなると元の名称を推測することさえ出来なくなります(笑)。

2019/07/16 (Tue) 01:53 | EDIT | REPLY |   
ねこニャン’19  
こんばんわ~

あ~お役所的なの!!
昔住んでいた町名にそんな感じのことがありました。
住民は『かき○○町』と言っているのに、役所は『がい○○町』って表示してました(;^_^A
何なんでしょうね?

2019/07/15 (Mon) 20:44 | EDIT | REPLY |   

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