天使が通る時 ── 残夏日記 令和三年九月二十三日(木)

時節柄ということもあって、世間では20日の敬老の日と23日の秋分の日の間を有休にして6連休、さらには明日も休みにして土日に繋げて9連休を取得した方もおられるようだ。うらやましい限りである。実は俺も、あわよくば6連休で遅い夏休みを取ってやろうと目論んでいたんだが、早々に断念せざるを得なかったからね。まあ、人が休暇を取得したい時にお鉢が回って来るという、そういう類の仕事なので現実問題として大変ありがたいことだし、文句を言ったらバチが当たるってもんだ(笑)。でも明日一日くらいは休みを取っても・・・などと思わないでもない。多分取れないけど(笑)。
ところで、家族との団欒や友人との飲み会などをやっている時に、一瞬会話が途切れて皆沈黙してしまう時ってあるじゃないか。ご存じの方もいると思うんだが、この現象をフランスの諺で「天使が通る」"Un ange passe."と言う。文豪二葉亭四迷先生も作品中で「雪江さんも黙って
こういうことって、虫の世界にもある。例えば俺の故郷で、春から初夏を代表するエゾハルゼミなどもそうだ。北海道でセミといえばこのセミを指すくらいお馴染みのセミなんだが、このセミは集団「合唱性」があって一匹が鳴き始めると次々に同調して森の中がエゾハルゼミの大合唱に包まれる。時折、この耳をつんざくような大合唱がふと止まることがあって、森に静寂が戻ってくる。そのうちどこからともなく一匹が鳴き始め、再び森は大合唱に包まれる・・・。俺は子供の頃からこの大合唱と静寂の繰り返しを聴くのが大好きで、春から初夏にかけてよく森に通ったものだ。この繰り返しをずっと聴いていると、何とも言えない神秘感に打たれるんだよね。エゾハルゼミにはエゾハルゼミの天使が通っているのかも知れない。
エゾハルゼミ:蝦夷春蟬、学名:Yezoterpnosia nigricosta(Motschulsky, 1866)、カメムシ目(半翅目)セミ科ハルゼミ属に分類される中型のセミ。5月〜7月にかけて発生し「ミョーキン・ミョーキン・ケケケケ・・・」と個性的な鳴き方をする。近縁種に「ハルゼミ」がいるが、北海道で「ハルゼミ」という場合、普通はこのエゾハルゼミを指す。またアイヌ語ではセミ全般を「ヤケ」というが、これもエゾハルゼミの鳴き声「ミョーキン」に由来する呼称だと思われる。名称に「エゾ」と付いているが、実は北海道から九州まで全国に分布している。但し北海道では平地から低山帯で見られるが、関東地方以西における生息域は冷涼な山岳地帯の落葉広葉樹林に限られる。
このセミは全国に生息しているとはいうものの森林性のセミなので、北海道、東北出身者・在住者や登山などをやる人を除くと鳴き声を聞いたことのある方は決して多くはないと思う。是非この動画で鳴き声を聞いてみてほしい。残念ながら大合唱ではないが、遠くでも数匹が鳴いているのでその雰囲気はお分かりいただけると思う。「ミョーキン・ミョーキン・・・ケケケケ・・・」の「ケケケケ・・・」のパートは、ヒグラシにも絶対に負けない趣や情感があると俺は信じている(笑)。
心地よいこの沈黙は何のため? "

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