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遠い夏 ── 『一冊の小瓶』と『朝の詩』から磯貝裕美さんの詩を読んでみる 第13回

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さえき奎(けい)
On Such A Windy Day #2"On Such A Windy Day #2" Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/125sec., ISO100, WB:Daylight
 産経新聞の一面最上段に掲載される『朝の詩』を楽しみにしている。いや、今は「していた」と過去形で書く方が正しい。もう何度も書いているが、選者を詩人の新川和江先生が担当されておられた頃に比べて、掲載作品のレベルが格段に落ちた。落ちただけではなく、掲載作品の内容や掲載対象者に明らかな偏りが見られるようになって久しい。おそらく、新聞社や現選者の先生にもいろいろ事情や都合があるのだとは思うが、毎日毎日他人の日記や備忘録のような「詩」を読まされる方の身にもなってほしい。「日常を詠んだ詩」は当然あり得るが「日常をただ書き連ねただけの文章」は断じて詩ではないと俺は考える。断っておくが、そういう文章を書くことが悪いと言っているのではない。産経新聞には『朝晴れエッセー』や『談話室』のような散文を対象にした投稿欄もあるんだから「そちらへどうぞ」と言いたいだけだ。今はかろうじて「ある目的と楽しみ」があるので毎朝チェックしているが、それがなければ、現状のような『朝の詩』などさっさとスルーしたいというのが俺の偽らざる本音だ。もういい加減にしてほしい。うんざりだ。

 などと悶々としていたら、今朝の紙面を確認すると、久しぶりに敬愛する詩人磯貝裕美さんの作品が掲載されていた。梅雨空の鬱陶しい朝だったが、気持ちがどんどん晴れ渡って行くのを感じながら何度も読み返した。




「遠い夏」


磯貝裕美


しおりのページの
フレーズを
何度も 何度も
口ずさんでみた
──君が返してくれた
  ロセッティの詩集。

風をみたことなんて
あるわけないけど、
潮風のように
君は吹き過ぎていった

栞のページに
今も 君がいる



出典:『朝の詩』(産経新聞 令和3年/2021年7月1日)



磯貝裕美詩集 マーマレード
磯貝裕美さんは後書きでこの詩集を「あまく すっぱく ほろにがい”一冊の小瓶”」と呼んでいる。

磯貝裕美(いそがい・ひろみ)さんのプロフィール

1963年愛知県生まれ。
1995年「詩とメルヘン」において、イラストレーターとしてデビュー。
おもに詩の挿絵を手がける。
2005年より、産経新聞「朝の詩」に詩の投稿をはじめる。
掲載詩、多数。
作品集に『MENUETTO─16歳の花帽子』(サンリオ)がある。


 数行読み進めるだけで、磯貝裕美さんの詩だとわかるこの心地よいタッチと語感に酔い痴れた。そして、この一篇がクリスティーナ・ロセッティへのオマージュとなっていることがうれしかったし、俺の敬愛する二人の詩人が、200年という時空を超えてこういう形で繋がったということに感動を禁じ得ない・・・。ということなので、今宵は「へべれけOK・本気飲みモード・祝杯バージョン」へ一気突入してみる。明日の仕事? うーん、とりあえず今は考えないでおくよ(笑)。

 尚、今回ご紹介させていただいた「遠い夏」は『朝の詩』所収の作品なので、記事タイトルを「『一冊の小瓶』と『朝の詩』から磯貝裕美さんの詩を読んでみる」とさせていただいたことをお断りしておきたい。


  第12回へ戻る:名前・手紙・物干し場 ── 『一冊の小瓶』と『朝の詩』から磯貝裕美さんの詩を読んでみる 第12回


  第14回へ行く:空 ── 『一冊の小瓶』と『朝の詩』から磯貝裕美さんの詩を読んでみる 第14回



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さえき奎(けい)
Posted byさえき奎(けい)

Comments 20

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さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

ももPAPAさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 磯貝裕美様の詩のフレーズ 滲みました。
> 青春の日の、セピア色の風が私の胸の中にも爽やかに
> 吹きました。

滲みて、吹きましたか・・・。まさか、こういう展開になるとは夢にも思わず、天にも
昇る心地です(笑)。ただただ、磯貝裕美さんに感謝です。

> いい詩ですね~
> し~ちゃんは永遠ですね。

ありがとうございます。

2021/07/03 (Sat) 18:44 | EDIT | REPLY |   
ももPAPA  

奎さん こんばんわ♪

磯貝裕美様の詩のフレーズ 滲みました。
青春の日の、セピア色の風が私の胸の中にも爽やかに
吹きました。
いい詩ですね~
し~ちゃんは永遠ですね。

2021/07/02 (Fri) 23:40 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

ayaさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> ステキな詩。
> ステキなお話ですね。
> 感動しました。

ありがとうございます。全くの想定外の展開で驚きましたが、昨日から天にも昇る
心地です(笑)。

> 昨日は雲のお話、いろいろ教えてくださり、ありがとうございました。

とんでもない。これからも素晴らしい雲の写真を撮ってくださいね。楽しみにして
います。

2021/07/02 (Fri) 20:10 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

godminaさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 横浜は昨日から線状降水帯の所為で土砂降り続きで、気持ちは凹み、
> 仕事をする気は失せてます。
> おまけに今日は土砂降りの中を出勤してきたので、足下はずぶ濡れ状態。
> 余計に気持ちは鬱々と。

関東南部はけっこう酷い降りだったみたいですね。大変お疲れ様でした。

> そんな時にはやっぱり!磯貝裕美様の言葉たちは凹んだ気持ちを
> 洗い流して下さいますねぇ。
> カラっと晴れた爽やかな空の下に居るような、心地良い気持ちになります。
> 素敵な詩人ですよねぇ。

おっしゃるとおりだと思います。読む度に胸キュンとさせてくれる詩は、ある
ようでなかなかありませんからね。

> 家に帰ったら「マーマレード」を読み返します。
> 素敵な詩人をご紹介下さり、そしてご縁づけて頂き
> 心より感謝致します。

とんでもない。こちらこそ本当にありがとうございます。記事でご紹介させて
いただいた甲斐がありました。

2021/07/02 (Fri) 20:07 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

onorinbeckさん、こんにちは。いつもご支援ありがとうございます。

> 正直ロセッテイも全く知らないけど、
> 磯貝さんのこの詩好きですよ。
> 買おうかな^ ^

ありがとうございます。とてもうれしいです。ずっとご紹介させていただいた甲斐が
ありました。

ご参考までに「遠い夏」で磯貝裕美さんが触れているロセッティの作品はこの詩です。

https://7cascades.blog.fc2.com/blog-entry-431.html


2021/07/02 (Fri) 19:48 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: 雲もいつの間にかぶっ飛ぶ!

くろすけさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます・

> な、何だか凄いことになりましたね。

はい。想定外の展開です(笑)。

> 奎さんとしーちゃんが、磯貝裕美さんの世界で物語られるなんて。。こちらまでる胸キュンです。

ありがとうございます。昨夜から舞い上がりっ放しで、地に足が着きません(笑)。

> 永遠の青春のヒーローとヒロインに乾杯!✨🍻🎶

私はヒーローではありませんが、ありがとうございます(笑)。

2021/07/02 (Fri) 19:43 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: きれいな空と雲!

くうみんさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

>  深い青の空と、金色がかった雲、大変きれいですね。まるで中世の絵画みたい。

日没前の光景ですが、この日は風が強くこのような「吊るし雲」もどきが出ては消え
出ては消えしていました。写真にも注目していただきまして、ありがとうございます。

>  今宵はへべれけモードですって!今宵も、ですよね。わたしも同じです。

いつもはついついへべれけモードですが、昨夜は最初から公認のへべれけでした(笑)。

2021/07/02 (Fri) 19:38 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: 𓂃𓂂🍃

イオママさん、こんにちは。いつもご支援ありがとうございます。

> 感情表現を例えて言える人
> すごいなぁって思います。

本当ですね。私もいつもうらやましく思っています。やっぱり持って生まれたもの
ってあるのかも知れません・・・。

> 私も含め周りにはいないな。
> 話をしていて
> 「今の言葉..素敵!」なんて
> 思うことがほとんど無くて..

でも、イオママさんの記事を拝読していて、そこはかとなく詩情が滲み出ていると
私はいつも感じています。

> 産経新聞
> 載ってるよ!と連絡を貰ったのは
> もう35年も前のこと
> あの頃は若かったなぁ

え、もしかして『朝の詩』に掲載されたことがあるんですか?

> |_・)っ🥃🥃
> しーちゃんと2人で飲んで!

ありがとうございます。イオママさんも一杯飲っていってくださいv-275v-306v-275

2021/07/02 (Fri) 19:33 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

がちょーさん、こんにちは。いつもご支援ありがとうございます。

> 新潟は朝から既に30度もあります(笑)

30度ですか? いいですね(笑)。こちらは一日雨模様で、最高気温も20度までしか
上がらず、長袖で過ごした一日でした(笑)。

> 記事も拝見しましたよ
> しーちゃんの事でしたか。

そうだったんです。感激しました。

> 夏の青空に
> 当時のしーちゃんよ思い出、、
> なんとも懐かしい
> ホロリとする記憶でしたね、、

はい。梅雨の鬱陶しさもどこかへ吹っ飛んで行きましたよ(笑)。

2021/07/02 (Fri) 18:57 | EDIT | REPLY |   
aya  

こんばんは。

ステキな詩。
ステキなお話ですね。
感動しました。

昨日は雲のお話、いろいろ教えてくださり、ありがとうございました。

2021/07/02 (Fri) 18:54 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: 久しぶりの感動でした。

オグリン♪さん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 最近は朝の詩は飛ばすんだけど、昨日はぶったまげましたよ。
> 磯貝裕美サンの詩なんですもの・・・えぇぇぇって。

チェックと失望の毎日でしたが、この朝は心臓が止まるかと思いました(笑)。

> これはさえきサンが必ずBlogで記事にすると思っていましたよ、ふふふ。

「尾流雲の詩」ではありませんでしたが、よく考えたらもう一篇ご紹介出来る
詩が増えたということなので、それもまたうれしかったです(笑)。

> そして、なんと、ご本人のコメントに解説が・・・しーちゃんネ~。
> ついに、詩人磯貝裕美サンの手を借りて、しーちゃんは伝説になりましたね。
> うんうん、素晴らしい。

「俺も同じことやってたな・・・」なんて思っていたら、まさかしーちゃんをイメージ
して詠んでいただいたとは、もう感涙ものです。

> 八木先生は磯貝裕美サンの詩集を読んで勉強して頂きたいですね。

いろいろご事情もあるようですが、とりあえず今回はこの詩の掲載を感謝したいと
思います。

> この詩のお陰様で、ちょっとだけ、夏が好きになりそうです。

ちょっとだけなんて言わずに、どっぷりと夏の魅力に浸ってくださいよ(笑)。

2021/07/02 (Fri) 18:48 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

裕美さん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 「遠い夏」、書き込みして下さいまして、本当にありがとうございます!

いえいえ、どういたしまして。首を長くして掲載を待っておりました(笑)。

> この詩は「尾流雲」の詩のリベンジ版です。
> 尾流雲の詩は、どうやらボツにされたようです。(^-^;

そうだったんですか・・・。それは残念です。もしよろしければ、私にこそっと教えて
ください(笑)。

> この詩に出てくる"君"は、ずばり、しーちゃんです。(*^^*)
> 奎さんとしーちゃんのことをイメージして、この詩は書きました。(^.^)

そ、そうだったんですか。何と言っていいのかわからないくらい、うれしいです。
本当にありがとうございます。

> 実際に奎さんとしーちゃんの間に、どういうやりとりがあったのかは、もちろん知りませんので、どこまでもどこまでも、勝手なイメージです。

いえ、私はまったく同じことをしていました。手紙でもノートでも貸した本から
でも、しーちゃんの痕跡を探すのに夢中になっていました(ストーカーではあり
ませんが)。

> 八木先生も"胸キュン♪"を認めてくれることがあるのだと知って、なんだかうれしくなりました。(*´꒳`*)

そうですね。色々書いてしまって、八木先々ごめんなさい。

しーちゃんのことを詠んでいただいたとわかりましたので、この記事のタグに
「しーちゃん」を追加させていただきました。

2021/07/02 (Fri) 18:29 | EDIT | REPLY |   
godmina  

奎さん、こんにちは。
横浜は昨日から線状降水帯の所為で土砂降り続きで、気持ちは凹み、
仕事をする気は失せてます。
おまけに今日は土砂降りの中を出勤してきたので、足下はずぶ濡れ状態。
余計に気持ちは鬱々と。
そんな時にはやっぱり!磯貝裕美様の言葉たちは凹んだ気持ちを
洗い流して下さいますねぇ。
カラっと晴れた爽やかな空の下に居るような、心地良い気持ちになります。
素敵な詩人ですよねぇ。
家に帰ったら「マーマレード」を読み返します。
素敵な詩人をご紹介下さり、そしてご縁づけて頂き
心より感謝致します。

2021/07/02 (Fri) 16:33 | EDIT | REPLY |   
onorinbeck  

正直ロセッテイも全く知らないけど、
磯貝さんのこの詩好きですよ。
買おうかな^ ^

2021/07/02 (Fri) 16:32 | EDIT | REPLY |   
まっ黒くろすけ  
雲もいつの間にかぶっ飛ぶ!

な、何だか凄いことになりましたね。
奎さんとしーちゃんが、磯貝裕美さんの世界で物語られるなんて。。こちらまでる胸キュンです。
永遠の青春のヒーローとヒロインに乾杯!✨🍻🎶

2021/07/02 (Fri) 11:48 | EDIT | REPLY |   
ひねくれくうみん  
きれいな空と雲!

 深い青の空と、金色がかった雲、大変きれいですね。まるで中世の絵画みたい。

 今宵はへべれけモードですって!今宵も、ですよね。わたしも同じです。

2021/07/02 (Fri) 11:12 | EDIT | REPLY |   
イオママ  
𓂃𓂂🍃

おはようございます。

感情表現を例えて言える人
すごいなぁって思います。

私も含め周りにはいないな。
話をしていて
「今の言葉..素敵!」なんて
思うことがほとんど無くて..

産経新聞
載ってるよ!と連絡を貰ったのは
もう35年も前のこと
あの頃は若かったなぁ

|_・)っ🥃🥃
しーちゃんと2人で飲んで!

2021/07/02 (Fri) 08:42 | EDIT | REPLY |   
がちょー  


おはようございます♪
新潟は朝から既に30度もあります(笑)

記事も拝見しましたよ
しーちゃんの事でしたか。
夏の青空に
当時のしーちゃんよ思い出、、
なんとも懐かしい
ホロリとする記憶でしたね、、



2021/07/02 (Fri) 08:34 | EDIT | REPLY |   
オグリン♪  
久しぶりの感動でした。

最近は朝の詩は飛ばすんだけど、昨日はぶったまげましたよ。
磯貝裕美サンの詩なんですもの・・・えぇぇぇって。
これはさえきサンが必ずBlogで記事にすると思っていましたよ、ふふふ。

そして、なんと、ご本人のコメントに解説が・・・しーちゃんネ~。
ついに、詩人磯貝裕美サンの手を借りて、しーちゃんは伝説になりましたね。
うんうん、素晴らしい。

八木先生は磯貝裕美サンの詩集を読んで勉強して頂きたいですね。

この詩のお陰様で、ちょっとだけ、夏が好きになりそうです。

2021/07/02 (Fri) 06:10 | EDIT | REPLY |   
磯貝裕美  

奎さん、こんばんは♪

「遠い夏」、書き込みして下さいまして、本当にありがとうございます!

この詩は「尾流雲」の詩のリベンジ版です。
尾流雲の詩は、どうやらボツにされたようです。(^-^;

この詩に出てくる"君"は、ずばり、しーちゃんです。(*^^*)
奎さんとしーちゃんのことをイメージして、この詩は書きました。(^.^)
実際に奎さんとしーちゃんの間に、どういうやりとりがあったのかは、もちろん知りませんので、どこまでもどこまでも、勝手なイメージです。

八木先生も"胸キュン♪"を認めてくれることがあるのだと知って、なんだかうれしくなりました。(*´꒳`*)

2021/07/01 (Thu) 23:50 | EDIT | REPLY |   

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