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高きに雨ぞ降りしきる ── 尾流雲とは何か?

6 Comments
さえき奎
頭上の尾流雲「高きに雨ぞ降りしきる」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f8, 1/125sec., ISO100, WB:Daylight
波状巻積雲から垂れ下がる尾流雲(降水条)。降水条の出現から消散までわずか数分の出来事だった。

 「尾流雲」という名のちょっと変わった雲がある。もっともこれは巻雲とか積乱雲といった代表的な十種雲形の名称ではなく、そこから細分された副変種の名称である。以下、ウィキペディアの解説を引用する。


 尾流雲は、雲の高度にかかわらず、雲から大量の雲粒が落下すれば見られるので、巻積雲、高積雲、高層雲、乱層雲、層積雲、積雲、積乱雲の計7種に見られる。雲の下から筋状や柱状の白っぽい霧のようなものが垂れ下がったように見える。雲の先端が地上に達していないのが特徴。地上に達すれば、降水雲となる。
 雨、雪、霰などの降水が雲から落下する途中で、地上に達しないうちに蒸発・昇華したときに発生する。降水現象の1つとして捉えられる場合もある。降水条(こうすいじょう, Fall streaks)とも言う。尾流雲の場合は、地上で降水が観測されなくても、上空を飛行する航空機などは降水を受ける可能性がある。尾流雲は、降水雲と同様に、虹が見られることがある。
引用:「尾流雲」(2018年8月22日 (水) 12:22 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』


 何だかよくわからない解説だが、要するに降るには降っているが、地上に到達する前に蒸発してしまうので「我々の住んでいるところには決して届くことのない雨」のことだ。上掲の写真は、別の雲を撮影していた時に偶然見かけて撮影した波状巻積雲の尾流雲だ。これまでも尾流雲は何度か見かけたことはあったが、遠くに微かに尾を引く雲を望見した程度だった。今回のように、巻積雲の一つ一つの塊から、まるでくす玉が割れて中から幾筋ものテープが垂れ下がって来るような状況をリアルタイムで見たのは初めての経験だった。しかも出現したのはほぼ頭の真上だったが、降水条の出現から消散までわずか数分の出来事だった。。写真でおわかりいただけると思うが、クラゲの長い触手のように垂れ下がったり風になびいたりしているのが降水条である。高い空の上に起こる現象ではあるが、そこでは間違いなく雨が降っているんだよね。
 もっともあまりにも近すぎて、何だかわからないうちに消えてしまう可能性もある。環天頂アークなどもそうだが、頭の真上の出来事というものは意外と気づきにくい(首を持ち上げて頭の真上を見上げてみてほしい。いかに不自然で疲れる姿勢かおわかりいただけると思う(笑))。次の写真は遠くに見える乱層雲の尾流雲だ。こちらからも雲底から垂れ下がる雲の筋(降水条)が確認できると思う。このような尾流雲なら注意していれば観察できる機会はあると思う。もしこういう雲を見かける機会があったら「ああ、あそこでは雨が降っているんだ」ということを思い出してほしい。
乱層雲の尾流雲
出典:「尾流雲」(2018年8月22日 (水) 12:22 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 乱層雲の尾流雲: Simon Eugster氏を著作者とするこの作品は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスのもとに利用を許諾されています。

 雲の写真のウェブサイトなどでよく散見されるのは、巻雲(多くは鈎状巻雲や房状巻雲)を尾流雲と誤認しているケースだ。確かに鈎状巻雲や房状巻雲は尾を引いているので尾流雲に見えないこともないのだが、上の解説にもあるように巻雲に尾流雲は発生しない。高空にしか出現しない巻雲は、細かい氷晶で出来ておりそれが風に流されて尾を引くことはあっても、元々雨を降らせるだけの材料を持っていない雲なんだよね。
巻雲を愛す
「鈎状巻雲」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f8, 1/250sec., ISO100, WB:Daylight
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さえき奎
Posted byさえき奎

Comments 6

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さえき奎
さえき奎  
Re: 波状巻積雲から垂れ下がる尾流雲

がちょーさん、ご訪問ありがとうございます。

> 波状巻積雲から垂れ下がる尾流雲。壮大なスケールでありますね
> なんだか滝をイメージしましたよ^^

そうですね。豪快に水を落とす滝ではなく玉すだれ滝とか水が滴るような滝ですね(尾流雲も実際に水が滴っているんですけど )。

> これからの夏の雲は青空と相まっていろんな顔に変化しますよ
> 7月に入りましたね。夏の雲は毎日いろんな顔をしてくれて
> 毎日が楽しみでもありましたよv-278

そういう夏が待ち遠しいです。もう何週間も大気光学現象をみていません。一体この梅雨はいつまで続くんでしょうか。

2019/07/01 (Mon) 18:00 | EDIT | REPLY |   
がちょー  
波状巻積雲から垂れ下がる尾流雲

波状巻積雲から垂れ下がる尾流雲。壮大なスケールでありますね
なんだか滝をイメージしましたよ^^

これからの夏の雲は青空と相まっていろんな顔に変化しますよ
7月に入りましたね。夏の雲は毎日いろんな顔をしてくれて
毎日が楽しみでもありましたよv-278


2019/07/01 (Mon) 17:28 | EDIT | REPLY |   
さえき奎
さえき奎  
「特別な存在」なんですよ!

黒ゆとりさん、ご来訪ありがとうございます。

> アベノハルカスだったかな……? やたら高いビルの屋上に登れる企画があって、行ったことがあるんです。
> そのときは降ったり止んだりの天気だったんですが、屋上から見ると、雨がこちらに近づいてくるのがよく分かるんですよ。
> 大きな塊が。

私も子供の頃に山の上でこれを初めて見ました。すごく遠くにある時の雨って雲と地面の間の靄か霞のように見えますよね。最初はそれが何なのかわからず、どんどん近づいて雨だとわかった時はすごく興奮しました。その瞬間叩きつけるような雨粒に襲撃されていましたが、これにも興奮しました(笑)。

> まるで自分達が特別な存在になったような、不思議な気分になりました。

間違いありません。その現象の瞬間に「立ち会っている」「気がついている」ということはいつだって「特別な存在」なんです。お互いこれからも出来るだけ「特別な存在」でありたいものですね。

> この写真の雲とか、私多分遠近を捉えるのが下手なので、垂直方向に延びてるのか水平方向に延びてるのか、実物を見ても分からないかも……。

これもそのとおりで、特に頭の上にある時は分かり難いですね。私もリアルタイムで降水条が伸びて来るのを見ていたから気がつきましたが、そうでなければ見逃していたかも知れません。

2019/07/01 (Mon) 12:14 | EDIT | REPLY |   
さえき奎
さえき奎  
Re: こんばんわ~

ねこニャン’19さん、こんにちは。ご来訪ありがとうございます。

> 晴れているのにポツポツっと少しだけ降る雨のときは、また別なんですかね?

それとはちょっと意味合いが違いますね。地上まで雨が届く雲は「降水雲」として区別しています。私の郷里(北海道)では、「晴れているのに雨が降る」現象のことを「狐の嫁入り」などと呼んでいました。

> 途中で蒸発せずに、少量だけ地上まで到達する雨粒もいるのかな?なんて思ったり・・

確かにそういう「降水雲」と「尾流雲(降水条)」の境界が微妙な現象もありそうですね(笑)。まあ、少しでも地上に雨が届けば「降水雲」とすることでいいのではないかと思います。

> 先日、飛行機が下りるのを見ていたスーパーの屋上で、雲を眺めていたら、端の方が消える様子が見えました。

よく気がつきましたね。実は雲は、単に流れて行くだけではなく盛んに消えたり現れたりしています。記事の写真の尾流雲が見えていたのは、ほんの数分の出来事であっという間に消えて行きました(雲が自分自身を放出しているわけですから当然消えますよね)。

> 最初は目の具合が悪いせいか?とも思うくらい・・
> 蒸発していたのかな?
> ほわっとした小さな雲でしたが、やっぱり数分後にはいなくなってました。

それは目の具合が悪いどころか「よい」という証拠ですよ(笑)。

2019/07/01 (Mon) 12:01 | EDIT | REPLY |   
黒ゆとり  

アベノハルカスだったかな……? やたら高いビルの屋上に登れる企画があって、行ったことがあるんです。
そのときは降ったり止んだりの天気だったんですが、屋上から見ると、雨がこちらに近づいてくるのがよく分かるんですよ。
大きな塊が。
まるで自分達が特別な存在になったような、不思議な気分になりました。

この写真の雲とか、私多分遠近を捉えるのが下手なので、垂直方向に延びてるのか水平方向に延びてるのか、実物を見ても分からないかも……。

2019/07/01 (Mon) 05:01 | EDIT | REPLY |   
ねこニャン’19  
こんばんわ~

晴れているのにポツポツっと少しだけ降る雨のときは、また別なんですかね?
途中で蒸発せずに、少量だけ地上まで到達する雨粒もいるのかな?なんて思ったり・・

先日、飛行機が下りるのを見ていたスーパーの屋上で、雲を眺めていたら、端の方が消える様子が見えました。
最初は目の具合が悪いせいか?とも思うくらい・・
蒸発していたのかな?
ほわっとした小さな雲でしたが、やっぱり数分後にはいなくなってました。

2019/06/30 (Sun) 21:18 | EDIT | REPLY |   

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