【改訂版】 「渓流の妖精」カワネズミくんと遭遇した日

「渓流の妖精『カワネズミ』」 このようにゆったりと泳ぐ姿が撮影されることは大変珍しく貴重な写真である。画面左側の細長い茶色のものは一見小枝のように見えるがカワネズミの尻尾で、おそらく泳ぐ時のバランスを取ったり舵の役目をしているのではないかと想像する。
出典:「信州(長野県)中央の自然(野鳥、山野草、風景)」に掲載されているこの作品は著作者である「アルプスの風花」氏の許諾を得て転載しています。
カワネズミ(川鼠、Chimarrogale platycephalus)は、哺乳綱 Eulipotyphla 目 トガリネズミ科 カワネズミ属 に属する哺乳類。本州と九州にのみ生息するとされる日本固有種。体長11.1 - 14.1cm。尾長8.2 - 11.7cm。体重25 - 63g。尾は長く、下面には長い毛がある。夏毛では背面が黒褐色、冬毛では灰色が強くなる。臀部には先端が銀色の刺毛が多くなる。腹面の体毛は淡褐色で、先端は褐色。水中では体毛の間に気泡がたまり、この空気の層が光を反射して銀色に光るように見えるためギンネズミ(銀鼠)と呼ぶこともある。山間部にある倒木や岩が多い渓流周辺に生息する。捕獲調査から個体ごとに縄張りを形成することが示唆されている。周日行性だが、夜間の方がより活動するという報告もある。岸にある乾燥した石の間や下、地中に枯葉を集めて巣を作る。
引用(一部編集・要約):「カワネズミ」(2019年1月13日 (日) 10:55 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』
滝撮影行を盛んに繰り返していた頃、奥秩父R山系のS沢を初めて訪れた時のことだ。最初に現れた魅惑的な滑滝を撮影しようと、滝の規模にしては広い滝壺の前でカメラを三脚にセットし、フレーミングの微調整をしていると、滑滝の上を飛び跳ねるように水飛沫を上げながら駆け降りてくる小動物の姿が目に入って来た。一瞬、野ネズミか何かが岸の斜面から転げ落ちて来たのかと思ったほどの勢いだった。それは、そのまま滝壺に突入すると銀色に輝く身体がまるで魚雷のような航跡を曳いて水中を進み、一瞬太陽にきらりと閃いたかと思うとすぐに見えくなった。航跡の延長線上の岸に上がってくるだろうと思って、しばらく待ってみたが、野生の動物が人間や外敵に見え見えの行動をするわけもなく、二度と俺の前にその姿を現すことはなかった。何という心躍る光景。俺は暫し撮影も忘れて、滑滝の前で呆然としていた。こんな予期せぬ出会いがしばしばあるので、滝や沢はやめられないんだよね。他にもR山系では、クマさんとは三度、カモシカさんやイノシシさんとはしょっちゅう接近遭遇していたんだが、眼にした瞬間にパニクってしまったので、本当にうれしかったかどうかは今でもわからない(笑)。

カワネズミ君はこの滑滝の左側の流れを転げ落ちるように駆け下りて来た。この写真は別の日に撮影したカット。
帰宅してすぐに調べてみると、それはカワネズミという山間部の渓流に棲む動物であることがわかった。滝写真仲間のオフ会でその話をすると「俺も見たことある」とか「いるいる、そういうのが」などと遭遇経験のあるメンバーが数人いた。そこで「今度見かけたら、必ず写真に撮って報告しようぜ」という約束をした。しかし、こと滝に関してなら誰しもが一家言持つ強者揃いなんだが、動物写真となるとせいぜいペットを被写体にするくらいで、野生動物なんぞ一度も撮ったこともない畑違いの連中ばかりだ(笑)。案の定「撮ったぞ!」なんて声が上がることはついになかった(笑)。もちろん俺だって例外ではなく、その後このS沢や同水系のH沢などで何度か遭遇する機会はあったものの、今回同様に一瞬の出来事であり、ワンカットすらフィルムに収めることは出来なかった。そもそも滝屋サンは、動くことのない滝(水は動いているが、滝そのものは動かない)を相手(被写体)にしている。ほぼ全てと言っていいほど三脚撮影が多く、またPLフィルターなども常用しているので、その撮影スタイルは著しく機動性に欠けている。フットワークに自信はあっても、カメラを三脚にセット済みだったりすると、突如現れた動物に対して機敏に対応するのは至難の業というか、まず不可能なんだよね。以上は、悔し紛れの言い訳なんだけれど(笑)。
さて、このユニークで魅力的な小動物のことを記事にしたいと思ったものの、文章だけではどうしても限界がある。百聞は一見にしかずと言うじゃないか。そこで、どこかにいい写真はないものかと探し始めたものの、どれもこれもあまりパッとしないんだよね。水槽で飼われている姿なんぞは、どう見てもただのネズミかモグラにしか見えないしね(笑)。半ば諦めかけていたところ「信州(長野県)中央の自然(野鳥、山野草、風景)」というブログに、長野県の烏川渓谷というところで撮影された生き生きと川面を泳ぐカワネズミの写真を見つけた。もう素晴らしいの一語しかない。俺も数度ばかり遭遇の機会はあったんだが、一度としてこんなゆったりした姿で登場してはくれたことはなかった。烏川渓谷のカワネズミくんと違って、我がR山系のカワネズミくんはシャイな性格なのかも知れない(笑)。
探していたのはまさしく「これだ!」と直感し、すぐオーナーの「アルプスの風花」さんに連絡を取って写真の転載をお願いをしたところ、実に快く承諾していただいた。このような素晴らしい写真を多くの人に見ていただき、カワネズミを知っていただくことは、俺にとっても大きな喜びだ。アルプスの風花さん、本当にありがとうございました。他の写真や記事を読んでみたい方は、是非「アルプスの風花」さんのブログ・サイト「『信州(長野県)中央の自然(野鳥、山野草、風景)』の『カワネズミ』の記事」へ行ってみてほしいと思う。

↑ 大変お手数ですが、 ワンクリック のご支援をお願いたします! 「にほんブログ村ランキング」に参加しています。みなさまの ワンクリック のご支援が何よりの励みになります!
- 関連記事
-
-
黄鉄鉱(パイライト)だってそこそこ美しい!── 愚者と少年にとって、それは確かに「金」だった 2021/05/22
-
二日酔いさん、こんにちは ── 今宵は、ハイボール薄めで 2021/04/21
-
【改訂版】 「渓流の妖精」カワネズミくんと遭遇した日 2021/03/23
-
【改訂版】 生き残るって大変なんだよ ── 神様に"Selection"の対象にされないようにね 2020/12/23
-
[三訂版] 「ウスユキソウ」が「日本のエーデルワイス」ではなく「エーデルワイス」が「西洋ウスユキソウ」である理由(わけ) 2020/05/30
-