【再掲】 「ロウ・アンド・ロウ、ロウ・アンド・ロウ」よりも「キャッチ・ロウ、キャッチ・ロウ」の方がいいんじゃないのかなあ ── まあ、とにかく頑張ろうぜ!

「ヨレヨレのハートを貫き損ねたヘロヘロの矢」 Canon EOS 5D Mark II, EF 24-105mm F4L IS USM, f5.6, 1/125sec., ISO100, WB:Daylight
〽たとえば男は阿呆鳥 たとえば女はわすれ貝 真っ赤な
引用:『黒の舟唄』(作詞:能吉利人)
抱き寄せてキスした君が抱き寄せてキスした猫は股間を舐める (円満)
出典:『短歌ください 双子でも片方は泣く夜もある篇』(KADOKAWA 2019年刊)
愛する人ならともかく、にゃんこのはなあ・・・(笑)。「にゃんこの下僕」のみなさん、このあたりいかがなものでしょうか(笑)?
いつまでも解けないクイズはやめにしてあっけらかんとプロレスしようぜ (本下いづみ)
ワインならまかせなさいといい乍らグラス倒すかこのタコおやじ (本下いづみ)
きみからの電話に声色かわるとき ああ、好きなんだなと思う我あり (リス)
眼鏡触れ「生命線」と笑う君、いつか越えたい最後の砦 (大内恵美)
われを抱く荒々しき
以上5首 出典:『短歌はプロに訊け!』(本の雑誌社 2000年刊)
以前の記事でちょっと触れたこともある本下いづみさんの「プロレスしようぜ」に加えてもう一首「タコおやじ」をご紹介させていただいた。この一首を初めて知った時は一時間くらい笑っていた。同じようなことをやったこともやられたこともあったから(笑)。彼女は数多くの本を出している有名な絵本作家であるが、歌人の東直子さんが「短い言葉で絶妙に状況を理解させてくれる」と評しているように、そのシーンにベストマッチする言葉を選択する能力に長けているんだろうと思う。そういえば東直子さんも歌人であり児童文学作家だったね。こういう並外れた感性を持つ人たちって本当にうらやましい。
年下も外国人も知らないでこのまま朽ちてゆくのか、からだ (岡崎裕美子)
帰さないと言はれたことのない体埠頭の風にさらし写メ撮る (コーネル久美子)
するときは球体関節、のわけもなく骨軋みたる今朝の通学 (野口あや子)
この包丁切れ味悪いとリビングへ持って入れば夫後ずさる (石田恵子)
以上4首 出典:『しびれる短歌』(ちくま書房 2019年刊)
野口あや子さんのこの一首、結句で「今朝の通学」と言った瞬間の意外性と滲み出る生々しさが何ともよい(いや、何とも「痛い」か(笑))。やっぱり本物の歌人は上手いよなあ。野口さんってまだ若い方なんだけど「女子大生の頃か? いや、女子大生は通学なんて言わんからやっぱ女子高生だよなあ。まさか中学生なんてことは・・・」とか「どんなアクロバットな○位だったんだろうか、もしかしてS○やってたか?」なんてあらぬ想像を喚起させたり「彼女の身体に出来ているかも知れない痣の色」まで妄想させてしまうところがすごい(笑)。短歌ってこういう風に詠まなければいけないんだね。

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