白頭巾ちゃん気をつけて

ある日の午後、積雲の右肩付近に頭巾雲を見つけた。ここに写っているのは一つの雲塊ではなく、二つの積雲が重なって見えている姿だ。奥側の高い積雲には、頭巾雲は発生していない。

手前の積雲がどんどん発達し、頭巾雲も広がって来た。頭巾雲の縁が、うっすらと彩雲になっているのがおわかりいただけるだろうか?

この時がほぼピークに近い状態だ。頭巾というより、ヘッドスカーフでも被っているといったところか。

積雲はさらに発達し、頭巾雲を持ち上げ突き抜けた。この後頭巾雲は急速に消散して行った。最初のカットからわずか3分程度の出来事だった。
今日も埼玉県北部地方は最高気温が37度まで上がった。例によって午後4時がピークだった。もうこれがデフォルトってことは、ここら辺りが既に亜熱帯ってことなんだろうか。それはちょっと困るな。俺が好きな夏は温帯の夏なんだからさ(笑)。
本日掲載した4葉の画像は数日前に撮影した頭巾雲で、上から順に時系列的に並べてある。もくもくと沸き立つような雲が積雲で、ふわっとした綿帽子かベールのように見える雲が頭巾雲だ。積雲や積乱雲のように、垂直方向に発達する雲の雲頂高度付近に湿気を帯びた安定層があると、これらの雲の発達による上昇気流で押し上げられて上部に頭巾をかぶったような雲が発生する。規模の小さなものは頭巾雲、大きなものはベール雲と呼ばれているが、どこまでが頭巾雲でどこからがベール雲というような明確な基準はない。
もう少し詳しくこの雲の発生原理を説明すると、発達する積雲の上昇気流によって湿気を帯びた安定層が上へ持ち上げられて、気温が下がって露天温度(気体が冷却されて行く時に、結露すなわち凝結が起こり始める温度)になっている高度(凝結高度)に達した時に出現するというものだ。対流圏においては、高度が100m上がるごとに気温は0.65℃ずつ下がって行くということを覚えておいてほしい。要するに露点温度に達したことによって生じた結露が雲粒になるということで、飽和水蒸気量の変化に起因する現象ということだ。この辺りのことがわかって来ると、俄然ソラが面白くなるんだよね。大して難しい話じゃないので、興味のある方は是非過去記事を参照していただきたいと思う。
参照:なぜ冬は乾きにくいのか? ── 飽和水蒸気量と洗濯物の乾きやすさの因果な関係
一昨日の記事でご紹介した茜色に染まった乳房雲なども積乱雲の雲底に出現することが多い雲なんだけれど、積雲や積乱雲を見かけたらまず雲底と雲頂をチェックするのが俺の習い性になってしまっている(笑)。乳房雲にしても頭巾雲にしても、一瞬しか存在しない雲なので、撮影はとにかく時間との勝負になる。白頭巾ちゃん、君は常にソラおたくに狙われている。気をつけなあかんよ(笑)。タイミングと条件さえ合えば、いつか茜色に染まる赤頭巾ちゃんに巡り逢うこともあるだろう。俺はそれを楽しみに待っている。
国により人にもよれば経済と命の天秤定まりがたく
〈日本脳炎〉〈スペイン風邪〉の名もありてすわりよきかな〈中国肺炎〉
遠い日のコピットゲームの楽しさに名前は可愛げコビット19
出典:千家統子 『定まりがたし』所収 (「短歌」令和2年/2020年8月号 角川文化振興財団刊)

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