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I Gave Her My Heart But She Wanted My Soul ── 献身と欲望の彼方

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さえき奎(けい)
見果てぬ想い「見果てぬ想い」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/500sec., ISO100, WB:Daylight
 昨日の記事で「頭の中で人物や風景をイメージとして思い描くことができない」という"Aphantasia/アファンタジア"と称する事例をご紹介させていただいた。実はこれとは真逆で、例えば一度読んだ本は「全ての文字を鮮明な画像として思い浮かべることができる」人もいるんだよね。この場合は"Hyperphantasia/ハイパーファンタジア"と呼ぶそうだ。
 これを聞いて考えたのは、将棋棋士にはこのタイプの人間が多いんじゃないかってことだ。以前ご紹介した将棋の升田幸三実力制第四代名人は、子供の頃友人達と電線に止まっている雀の群れに向かって石を投げ、戻って来るまでに何羽止まっていたか当てる競争をやっていたそうだ。升田少年は目を閉じると、脳裏に動画を再生するかのようにそのシーンが再生され一度も負けたことがなかったそうだ。
 この例を挙げるまでもなく、例えば彼等の感想戦などを見ていると、過去の数多の対局がデータベースのように記憶されていることに驚く。それだけではなく、おそらくあらゆる読み筋や過去の局面を画像のように再現できる能力を有していることは間違いないだろう。過去記事を再掲出させていただくとこんな感じだ。(参照:叔母から届いたメーカーズマークは何故か故郷の味がした

感想戦の現場がすごい。「ちょっと指せる」レベルのアマの将棋ファンなんかでは全く付いて行けない。ここでこう指していたらという局面から録画の早送りのように駒を進め、数十手指してみて一応結論が出る。「これじゃ駄目だね」「でも、あそこで"3八金打つ"とやれば、まだまだ頑張れたんじゃないの?」なんていいながら電光石火のごとくその途中の局面に戻したりと、それを幾通りもの局面で繰り返し繰り返しやる。甚だしいのは「その手だと第○○期名人戦第○局と同じだね」とか「第○○期竜王戦の第○局では、そこで"5三飛車"と変化したんだよ」なんて言いながら、PCでDB検索でもするように過去の他人の対局を再現してみせたりするんだよ(笑)。




耕作つくりたる母は死の床 むせ返る畑に火魂かこんのトマトをもぎぬ  (大湯邦代*



出典:大湯邦代著『瑠璃の伽藍』所収 (雁書館 平成9年/1997年刊)
* 筆者注:「邦」の実際の漢字は、偏の最上段の「よこ」線が「左はらい」となり「月はらい」がその上に突き出ていない異体字(「戸籍統一文字」に於ける「俗字」)である。



夕映えのさしこむ厨ほたほたと母はトマトの汁をこぼしぬ  (東直子)



出典:東直子著『青卵』所収 (本阿弥書店 平成13年/2001年刊)

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さえき奎(けい)
Posted byさえき奎(けい)

Comments 8

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さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: タイトルなし

くろすけさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 脳の鍛え方が足りなかったくろすけ、可能ならリセットし賢い脳を授かりたいものです。(^-^;

それは私も同じです。私からすると、ハイパーファンタジアな人も絶対音感の人も
宇宙人にしか見えません(笑)。

> 脳内科学のお話は、花おばさんと同じく大好きな分野です。(#^^#)

私も昔から大好きな分野です。何といっても人間の知の源ですからね。

> 真っ赤に熟したトマトに語らせますね。
> 歌人の方々の言葉を紡ぎだしていく感性にいつも魅入られてます。(#^^#)

はい。特にこの二首は、三十一文字から滲み出る妖しげな空気感が尋常ではない
ですよね。もう溜息しか出ません。

2020/07/06 (Mon) 17:28 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: トマトの重み

がちょーさん、こんにちは。いつもご支援ありがとうございます。

> 記事とお写真も楽しく拝見させていただきましたね!
> いやー、情熱のトマト、
> 今日は帰りに好き八百屋でトマトを購入して冷やしトマト&冷奴で晩酌タイムを楽しみますね☆

それはそれは、がちょーさんの晩酌メニューのお役に立てて何よりです(笑)。

> トマトの重みも記事から、感じましたよー

確かにトマトを火魂に例えるところなど、ずしりと重いですね。

> いつものご支援等ありがとう御座います♪

こちらこそ、ありがとうございます。

2020/07/06 (Mon) 17:19 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: 天賦の才と、努力の才

花おばさん、こんにちは。いつもご支援ありがとうございます。

> 脳の鍛え方、その才能、そして、人の何十倍も、努力し続けるたゆまぬ継続力。
> 凡人には、とうてい、行きつくことの出来ない領域のように感じます。

そこなんですよね。持って生まれた人、才能あふれる人ほど努力を怠らないのですから
超人に見えても仕方ないですよね(笑)。

> ある少女(人とのコミュニケーションがまったくできない状態)が、天才的な絵画を描く事に、研究者たちは、驚き、レオナルド・ダヴィンチの再来かとうわさになり、彼女とのコミュニケーションを取ろうと、言葉を懸命に教え始め、少しずつ、人と話せるようになったとたん、彼女はそれまで、あたりまえのように描けていた絵がまったく、描けなくなったという話題がありました。
> 息子と二人で、脳のある部分が特別に発達していたけれど、言語をつかさどる部分へ、その何らかの物質が移行し、一瞬にして消えてしまったんだネ。・・とそのことについて話したことがあります。

別の言い方をすれば、人間の脳にはキャパシティーがあるという考え方も出来そう
ですね。

> 天才は、常識的な事が苦手ともよく言われておりますが、この世に残る素晴らしい数々の著書や、開発されてきた分野においては、花おばさんには、この世に生まれる前から、本人の意思で、次は、どんな人生、どんなことをやってみよう!と決めてきたのでは・・・。と考えてしまうのです。

特に芸文の世界では、常識に囚われている時間など創作活動を阻害する要因以外の
何物でもないんでしょうね。わかるような気がしますが、やはり凡人には出来ません。
しかし、そういう才能もないくせに常識もない輩が増えて来ていますね(笑)。

> あ! すいません、話がそれましたね。
> 科学的、医学的に、脳の仕組み、記憶の海馬、深く、面白く、興味が尽きません。

いえいえ、私も昔からすごく興味のある分野なんです。

> オグリン様がおっしゃるように、最後のトマトを扱った短歌。
> それぞれの味わいがあり、トマトをみるたびに、こちらを思い出しております。

お二人とも詠んでいる背景は全く異なるのですが、どちらも尋常ではない空気感が
漂っていてはっとさせられる歌ですね。

> 本日も、とても興味深い内容、ありがとうございました。
> あぁ、こんなお話、わくわくしてしまいます。(*´艸`*)

こちらこそ、ご丁寧なコメントを頂戴しましてありがとうございました。

2020/07/06 (Mon) 17:15 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎(けい)  
Re: プロは凄い。

オグリン♪さん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

> 口笛を吹くようにギターが弾ける人。
> 指に羽が生えたようにギターが弾ける人。
> そして、一度楽譜を読んだら、スグ弾けて忘れない人。

そうですね。演奏家にはハイパーファンタジアの人が多いでしょうね。

> 脳の鍛え方もアルんだろうけれども、天性のモノもアルのかもなぁ。

あるんじゃないでしょうか。特に音楽の場合は「絶対音感」という訓練や努力では
どうにもならない壁も存在しますからね。「絶対音感」と「ハイパーファンタジア」
を備えていて、尚且つ人一倍練習するんですからその存在は宇宙より遠いです(笑)。

> 火魂のトマトと夕映えのトマト。
> 燃え尽きた焔と、今正に盛りの焔。
> 赤は血の赤であり命であり死の象徴でもある。

大湯さんの「耕作りたる母は死の床・・・」を読んだ瞬間に東さんの「夕映えのさしこむ
厨・・・」が頭に浮かんで来ました。二首とも母親という身近な人のことを詠んでいるのに
漂ってくる「非日常感」が半端ないと思いました。

> この二首のチョイスは誠にお見事デスね。
> さすが、短歌の人であります。

ありがとうございます。これからもプチプチ・アンソロジーを掲載して行きたいと
思いますが、大変励みになります。

2020/07/06 (Mon) 16:21 | EDIT | REPLY |   
まっ黒くろすけ  

脳の鍛え方が足りなかったくろすけ、可能ならリセットし賢い脳を授かりたいものです。(^-^;
脳内科学のお話は、花おばさんと同じく大好きな分野です。(#^^#)

真っ赤に熟したトマトに語らせますね。
歌人の方々の言葉を紡ぎだしていく感性にいつも魅入られてます。(#^^#)

2020/07/06 (Mon) 10:55 | EDIT | REPLY |   
がちょー  
トマトの重み

こんにちはさえきさま。

記事とお写真も楽しく拝見させていただきましたね!

いやー、情熱のトマト、
今日は帰りに好き八百屋でトマトを購入して冷やしトマト&冷奴で晩酌タイムを楽しみますね☆

トマトの重みも記事から、感じましたよー

いつものご支援等ありがとう御座います♪


2020/07/06 (Mon) 10:21 | EDIT | REPLY |   
花おばさん  
天賦の才と、努力の才

さえき様、こんにちは。

脳の鍛え方、その才能、そして、人の何十倍も、努力し続けるたゆまぬ継続力。

凡人には、とうてい、行きつくことの出来ない領域のように感じます。

ある少女(人とのコミュニケーションがまったくできない状態)が、天才的な絵画を描く事に、研究者たちは、驚き、レオナルド・ダヴィンチの再来かとうわさになり、彼女とのコミュニケーションを取ろうと、言葉を懸命に教え始め、少しずつ、人と話せるようになったとたん、彼女はそれまで、あたりまえのように描けていた絵がまったく、描けなくなったという話題がありました。

息子と二人で、脳のある部分が特別に発達していたけれど、言語をつかさどる部分へ、その何らかの物質が移行し、一瞬にして消えてしまったんだネ。・・とそのことについて話したことがあります。

天才は、常識的な事が苦手ともよく言われておりますが、この世に残る素晴らしい数々の著書や、開発されてきた分野においては、花おばさんには、この世に生まれる前から、本人の意思で、次は、どんな人生、どんなことをやってみよう!と決めてきたのでは・・・。と考えてしまうのです。

あ! すいません、話がそれましたね。

科学的、医学的に、脳の仕組み、記憶の海馬、深く、面白く、興味が尽きません。

オグリン様がおっしゃるように、最後のトマトを扱った短歌。

それぞれの味わいがあり、トマトをみるたびに、こちらを思い出しております。

本日も、とても興味深い内容、ありがとうございました。

あぁ、こんなお話、わくわくしてしまいます。(*´艸`*)

2020/07/06 (Mon) 07:35 | EDIT | REPLY |   
オグリン♪  
プロは凄い。

口笛を吹くようにギターが弾ける人。
指に羽が生えたようにギターが弾ける人。
そして、一度楽譜を読んだら、スグ弾けて忘れない人。

脳の鍛え方もアルんだろうけれども、天性のモノもアルのかもなぁ。


火魂のトマトと夕映えのトマト。

燃え尽きた焔と、今正に盛りの焔。

赤は血の赤であり命であり死の象徴でもある。

この二首のチョイスは誠にお見事デスね。

さすが、短歌の人であります。

2020/07/06 (Mon) 06:20 | EDIT | REPLY |   

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