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帯って本の一部なんだよ!── なんて与太話を書いてみる

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さえき奎(けい)
Rib Boneな巻雲「"Rib Bone"な巻雲」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/250sec., ISO100, WB:Daylight
ちょっとはっきりしないが「肋骨雲」という巻雲の変種だ。この雲の名称に限ったことじゃないけれど、理科系のエラい先生ってどうしてこうネーミングのセンスが欠如しているんだろう。

 気になっていた歌集を購入した。もちろんビンボー人なので古書でだよ。届いてガックリ、帯が付いていねえ・・・。これがネットで古書を購入する際の大きな問題の一つなんだよね。古書のコンディション(傷みの程度、書き込みの有無、帯の有無など)をきちんと書いてくれている場合もあるが、帯については届いてみるまでわからないことが多い。

神様の住所出典:『神様の住所』(九螺ささら著 朝日出版社 平成30年(2018年)刊)

 これがその歌集だが、九螺(くら)ささらさんって前から気になっていた歌人で、この歌集は彼女のデビュー作だ。

たましい、無限、黒柳徹子、味の素、なぞなぞ――
84の多彩なテーマごとに、「短歌」→「自己解説(風文章)」→「短歌」の三段階で構成。
短歌と散文、感情と理性が響き合って、世界の新しい風景があふれだす。
歌集でもなく、エッセイ集でもない。


こんなキャッチ・コピーもぞくぞくするんだが、実際彼女の作品の方も、帯にある文句どおりの「短歌が入り口で、宇宙が出口。」なんて感じで、すげーわくわくさせてくれる作品群なんだよ。この帯の、この言葉が、俺の脳天を貫いた時に、俺はこの歌集を買う決断をした(笑)。こうなると、帯は紛れもなく本の一部であるし、切っても切り離せない存在になってしまうんだね。本文に「短歌が入り口で、宇宙が出口。」というフレーズが載っているならまだ我慢も出来る。丹念にページを繰ってみたが、どこにも見あたらなかったので、帯が付いていることが確実な別の通販サイトの出品者からもう一冊買うことにした(笑)。
 「最初から新刊買っておけばよかったのに」とか「馬鹿をやってるなあ」と苦笑する方もおられるかと思うが、こんな感じで俺にとっては帯というのものは本の一部に他ならないんだね。その本が出版された時代を反映する文献・資料という見方も出来るし、時の人気作家の推薦文なんかが載っていたりするからなかなか油断がならないものなんだよ。出版社サイドから見ても、帯の意義は大きい。帯の出来不出来が、本の売れ行きを左右することも多々ある。それ故に近年は表紙と帯のデザインが最初から一体化されるようになって久しい。
 古書を購入する際の話に戻る。古書販売においては、普通帯の添付は保証されていない。まあ、新刊本でも版によっては帯が付かない場合もあるし、そもそも最初から帯が付属しない本だって、決して多くはないがあるからさ。まあ、古書を扱う業者にとっては厄介な存在なんだろうな。「帯の添付は保証出来ません」とか、最初から開き直って「帯は広告であり、本体と見なしておりませんので添付していません」なんて明記しているところもあるくらいだ。だから、古書購入の際は、なるべく帯が付いている可能性が高い出品者から購入するようにしている。Amazonマーケットプレイスなんかの例でいうとVB社とかBS社とかKO社だ。NO社なんかは、仕入れた段階で帯が付いていようがいまいが全部外して「品質レベルの(悪い方への)均一化」を徹底しているらしい(笑)。だから、まずここからは買うことはない。まあ、今回は「添付している可能性が極めて高い」VB社だったので安心しきっていたんだが、本当にめずらしくスカだったという話だ(笑)。


〈体積がこの世と等しいものが神〉夢の中の本のあとがき (九螺ささら)


出典:『神様の住所』所収 (朝日出版社 平成30年(2018年)刊)

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さえき奎(けい)
Posted byさえき奎(けい)

Comments 12

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さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: タイトルなし

冴さん、今晩は。いつもありがとうございます。

> 神様の住所って
> やはり宇宙なんでしょうか?

そもそも宇宙ってどこにあるのかという問題でもありますよね。
空のはるかはるか彼方なのかも知れないですし、
自分の心の中にあるのかも知れないですよね。
多分どっちも正解なんだと思います。
ですから、宇宙って自分も含めて宇宙なんだと思います。
九螺ささらさんがいう〈体積がこの世と等しいものが神〉というのは、
おそらくそういう意味なんじゃないのかなあと私は思っています。
あ、だから住所はやっぱり「宇宙」ってことでいいんじゃないでしょうか(笑)。

2019/08/25 (Sun) 19:48 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: こんにちは

砂時計さん、今晩は。いつもありがとうございます。

> 帯はホントに大切ですね。
> 帯をみて本の内容を感じることができます。

上手く作られている帯なんて芸術性すら感じますね。中には、本文より帯の方がはるかに優れているなんてものもありますが(笑)。

> 私はほとんど帯を見ますね。
> 無いと・・・ちょっと買わないかも
> しれませんね。

ネット通販ではそこが難しいところです。必ずしも帯の有無を明記してくれている訳でもないですし、見本の写真どおりとも限らないですから(笑)。

2019/08/25 (Sun) 19:43 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: こんにちわ~

ねこニャン’19さん、今晩は。いつもありがとうございます。

> 私も本の帯は、本の一部だと思ってます(*^。^*)

ああ、やっぱり同じ考えの人もいるんだと思うと心強いですね。ありがとうございます。

> 無ければ『仕方ないかぁ・・』と思うけど、どうしても絶対に手に入れたい場合は頑張るかも?

そうなんです。発売直後には確かに帯があったのに、何度か増刷されるうちに帯なしになっていたりすることもあるのでガッカリしますね。私もそういう時は帯付きの古書を探したりします。

> やっぱり新刊で『いい!』と思ったら購入すべきですね(;^_^A

そのとおりです。特に歌集なんかは思い立ったら即購入すべきと学びました。まあ、それでも費用という切実な問題がありますので、どうしても古書のお世話になる部分も大きいですね(笑)。

2019/08/25 (Sun) 19:38 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: To さえき奎さん

オグリン♪さん、今晩は。早速ありがとうございます。

> はい、NHKあたりDEもっともらしい解説なんかしていちゃぁ~、駄目ですよネ~(笑)
> まぁ、すでに、御大と言うコトなのでしょうか?

ああ、やっぱりそう感じますか。作品的にもぐっと大人しくなってしまっていますよね。それが悪いことだとは言いませんが、異端だとか邪道だとかとの評価に対するパワーが彼の歌人としての魅力になっていたような気もするんですが、そんなのは外野が勝手にほざいているだけの、それこそ余計なお世話というものなんでしょうね(笑)。

> お~、なんとも興味深い、只今、酩酊中(昼からスイマセン)なので、後程拝見いたします。
> いやはや、正にトンデモ企画、う~ん、さすがデス、楽しみ。

あの、そんなたいそうなモノではありませんので、いつかお暇な時にでもお願いたします(^_^;。

2019/08/25 (Sun) 19:26 | EDIT | REPLY |   
谷口冴  

神様の住所って
やはり宇宙なんでしょうか?

素朴な疑問です

2019/08/25 (Sun) 16:50 | EDIT | REPLY |   
砂時計  
こんにちは

帯はホントに大切ですね。

帯をみて本の内容を感じることができます。
私はほとんど帯を見ますね。
無いと・・・ちょっと買わないかも
しれませんね。

2019/08/25 (Sun) 15:34 | EDIT | REPLY |   
ねこニャン’19  
こんにちわ~

私も本の帯は、本の一部だと思ってます(*^。^*)
無ければ『仕方ないかぁ・・』と思うけど、どうしても絶対に手に入れたい場合は頑張るかも?
やっぱり新刊で『いい!』と思ったら購入すべきですね(;^_^A

2019/08/25 (Sun) 13:21 | EDIT | REPLY |   
オグリン♪  
To さえき奎さん

>穂村弘さんが次第に円くなって来ているように感じる今。

はい、NHKあたりDEもっともらしい解説なんかしていちゃぁ~、駄目ですよネ~(笑)

まぁ、すでに、御大と言うコトなのでしょうか?

>長田弘の「最初の質問」に私が答えるなんて不遜極まりないトンデモ企画

お~、なんとも興味深い、只今、酩酊中(昼からスイマセン)なので、後程拝見いたします。

いやはや、正にトンデモ企画、う~ん、さすがデス、楽しみ。

2019/08/25 (Sun) 12:21 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: 短歌が入り口で宇宙が出口

がちょーさん、こんにちは。いつもありがとうございます。

> 短歌が入り口で宇宙が出口ってなんだかそそるタイトルでしたね^^
> 本屋にあるとついついこの本を手に取って読んでしまいますよ

実に上手いキャッチコピーだと思います。そして、それが単なる宣伝文句ではなく、内容をズバリ言い当てているからすごいです。

> でもがっかりでしたね;
> やはり物をリアルで見てから買わないとでしたかv-12

そのとおりなんですが、ネットと実際の古書店とでは在庫量が圧倒的に違いますので仕方ないですね。学生の頃は、毎日のように神田界隈の古書店めぐりをやってましたけれどね(笑)。

> 今回はハズレを引いてしまいました。

そうですね。90%以上は帯が付いてくる優良出品者なんですが、今回だけは残念でした。

2019/08/25 (Sun) 12:16 | EDIT | REPLY |   
さえき奎(けい)
さえき奎  
Re: 帯は大事ネ。

オグリン♪さん、こんにちは。いつもありがとうございます。

> 作家と作品と解説?と、その時代の息吹が帯にはあるのよネ、とても大事。

そのとおりです。少なくとも、単なる広告と切って捨てるようなものでないことだけは確かですね。

> 九螺ささら女史、本名なのかしら?

いやあ、いくらなんでもこれはペンネームでしょう(歌壇においては「俳号」にあたる言葉がありません。「歌号」とか「号」とも言ったりしますが一般的とは言えないのでペンネームとしました)。何と言ったらいいんでしょうか。東直子さん、野口あや子さん、中家菜津子さん、平岡直子さんを全部足してシャンパンで割ったような歌人ですね(笑)。もうすぐ第三歌集が出るのですごく楽しみです。穂村弘さんが次第に円くなって来ているように感じる今、やはり元気なのは若い女性歌人ですね。

> 「言葉を信じるしかない。『言葉にできない』は、敗北宣言。」と、断言するささら女史。
> 私はこの言葉に、敬愛する長田弘氏の超有名な詩、【最初の質問】を思い出した。

いやあ、偶然ですね。オグリン♪さんとはその辺りで、相通じるものがあるようです。過去記事で、ロングインタビューシリーズと称する自己紹介記事の一端なんですが、長田弘の「最初の質問」に私が答えるなんて不遜極まりないトンデモ企画をやらかしたことがあります(笑)。お時間のある時にでも読んで笑って頂ければ幸いです。

https://7cascades.blog.fc2.com/blog-entry-42.html
https://7cascades.blog.fc2.com/blog-entry-43.html
https://7cascades.blog.fc2.com/blog-entry-44.html

> 詩人でアレ、歌人、俳人、作家などは、言葉を信じるしかナイ。
> 日々、言葉にしたいモノDEアリマス。

同感です。大変難しいことではありますが・・・。

2019/08/25 (Sun) 12:06 | EDIT | REPLY |   
がちょー  
短歌が入り口で宇宙が出口

短歌が入り口で宇宙が出口ってなんだかそそるタイトルでしたね^^
本屋にあるとついついこの本を手に取って読んでしまいますよ

>届いてガックリ、帯が付いていねえ・・・。これがネットで古書を購入する際の大きな問題の一つである

でもがっかりでしたね;
やはり物をリアルで見てから買わないとでしたかv-12

今回はハズレを引いてしまいました。

2019/08/25 (Sun) 08:47 | EDIT | REPLY |   
オグリン♪  
帯は大事ネ。

作家と作品と解説?と、その時代の息吹が帯にはあるのよネ、とても大事。

九螺ささら女史、本名なのかしら?

「言葉を信じるしかない。『言葉にできない』は、敗北宣言。」と、断言するささら女史。

私はこの言葉に、敬愛する長田弘氏の超有名な詩、【最初の質問】を思い出した。

その詩の最期の二行は、


時代は言葉をないがしろにしている。

あなたは言葉を信じていますか。


詩人でアレ、歌人、俳人、作家などは、言葉を信じるしかナイ。

日々、言葉にしたいモノDEアリマス。

2019/08/25 (Sun) 06:22 | EDIT | REPLY |   

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