オスはだいぶ無理をしているか?

奥秩父の某沢のお気に入りの小滝にて。背は低いけれど、夏行っても冬行っても魅力的な姿を見せてくれる美人さんだ。垂れ下がった氷柱(つらら)に滝の飛沫がかかって氷の粒々のトッピングとなっている。滝と氷柱の絶妙の位置関係が産み出してくれる造形だ。
(梅雨が)明けましておめでとうございます(笑)。ついでに暑中お見舞い申し上げます。画像ですが、氷柱でしばし涼をおとりください。
「カッコつける」
山崎恵美子
ムンクイトマキエイは
海面から宙に
高くジャンプする
なぜかって
メスにアピール
するために
カッコつけちゃって
自然界の
時としてオスは
だいぶ無理をする
出典:「朝の詩(うた)」より (産経新聞 令和元年(2019年)7月30日)
選者は詩人の八木幹夫さん。ふーん、八木さんでも女性の書いたこういう詩を選ぶことがあるんだ。ちょっと意外・・・でもないのか。この「露骨感」というか「はっきりモノを言っちゃってる感」が気に入ったのかも知れない。でも、この人は「直接的でもなければ露骨感もない」詩を書いている磯貝裕美さんは好みじゃないだろうな。やっぱり、新川和江先生戻って来てくれないかなあ。選者が交代してから「朝の詩」が全然楽しみじゃなくなったよ。
それにしても山崎さん、キツいなあ、この一発・・・。当たってるだけに何も言えん(笑)。悲しいよね、オスって。まあ、セイウチみたいにメスをめぐって時には命懸けで血みどろの戦いを、なんて壮絶なケースはこの際置いておくとしても、動物界のオスってその点じゃみんな似たり寄ったりだよね。
ムンクイトマキエイだけじゃない。あの「飛ぶ宝石」と言われるカワセミだって、メスに求愛する時には小魚をプレゼントするのは有名な話で知ってる人も多いと思う。シカトされるくらいの仕打ちならまだましな方で、一旦受け取っておいてオスの目の前でポイしちゃったりする女の子もいる。何とも健気だね、切ないね・・・。でもさ、同じことしちゃった、されちゃった人間のメスさん、オスさんも多そうじゃないですか(笑)。
冬になると里にやって来るモズって鳥を知ってると思うけど、モズはスズメの鳴き真似するんで有名なんだ。俺の家の近くに来るモズも盛んにスズメ鳴きをする。最初は「ヂュンヂュン」なんて感じであんまり上手くないんだけど、だんだん「チュンチュン」とそっくりな鳴き方をして欺されてしまう(笑)。なんでこんな鳴き方をするか、最近の研究でメスに対するパフォーマンスだとわかって来たらしい。モズでさえ、そんなことまでしなきゃならんのだね。つくづく大変だなあと思うよ(笑)。
うーん、でもまあ、あらゆる動物のオスって女の子に対するパフォーマンスのために生きてるんじゃないのかな。よーく考えてみると人間のオスが一番必死のような気がしないでもない(笑)。女の方から見ればどうなんだろう。「お気の毒さま」って言われるのか、それとも「私たちだって必死にパフォーマンスしてんのよ」って反撃されるのか、どっちなんだろう。俺が、今度は「女に生まれてみたい」と思う理由の一つがそのへんにあるんだよね。
あ、オスの一匹として一点だけ山崎さんに反論させてもらうと「時としてだいぶ無理をする」のは事実だと思うけれど、別に「カッコつけちゃって」るわけじゃないんだよね。中にはそういうオスもいるかも知れないが、みんな必死なんですよ。それなりに、はい。
俺は、しーちゃんにそれこそ死に物狂いでパフォーマンスしちゃってたよ。間違いなく、そのためにこの世に生まれて来たんだと信じてたしね。でもさ、もし俺が、しーちゃんと巡りあってそれをやらないようなクズだったら、さっさとオスをやめちゃって、幣舞橋から釧路川にダイビングして、魚のエサにでもなってた方がナンボかましだと思うもんね(笑)。

↑ 「にほんブログ村ランキング」に参加しています。みなさまの ワンクリックのご支援 をお願いいたします。
- 関連記事
-
-
Advice to a Girl / 女の子へのアドバイス [覚えておいてね、この真理を ── サラ・ティーズデールの詩を訳してみる 第6回] 2019/08/09
-
しぐれをおもふ ── しいい、しいいとなきにけり 2019/08/05
-
オスはだいぶ無理をしているか? 2019/07/30
-
帰宅 ── 『一冊の小瓶』から磯貝裕美さんの詩を読んでみる 第4回 2019/07/23
-
I Shall Not Care / 私は何も感じないでしょう [四月の女神が濡れた髪を振り上げる時 ── サラ・ティーズデールの詩を訳してみる 第5回] 2019/07/20
-