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酒とソラの日々 / Lazy Days of Liquor and the Skies

酒のこと、空のこと、写真のこと、しーちゃんのこと、北海道のこと、気象のこと、映画のこと、詩のこと

ストロベリームーンと北海道サマーの宵 ── 新・夏待日記 令和五年六月四日(日)

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さえき奎(けい)
Towering Clouds #3"Towering Clouds #3" Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/500s, ISO100, WB:Daylight
 本日のトップ画像は、ある日の日没前層積雲に生じた「塔状雲」がシルエットになったところなんだが、その雲頂部からさらに小さな「塔」が聳えているんだよね(笑)。塔状雲の学術名は"castellanus, 略号:cas"なんだが、字面から何となく想像出来るようにラテン語の"Castellum"(英語の"Castle"に相当する「高い城・城塞」の意)に由来するそうだ。まあ、俺的には放置していたら芽が出てしまったタマネギかタジン鍋に見えるんだが・・・(笑)。

 さて、今日も俺のところ(埼玉県北部地方)では朝からカラッと晴れ上がって、爽やかな"北海道サマー"の一日となった。梅雨はどこへ行ってしまったのか。「五月中の梅雨入りは必須の情勢」とか「長梅雨になりそうだ」などという話は一体何だったのか。午前中家事やプライベート案件をちゃちゃっと片付けて、午後からは「いっそのこと梅雨はもう来ないでほしい・・・」などという願いを込めて昼酒モードを楽しんだ(笑)。陽が落ちると今宵は満月、"ストロベリームーン"の名にふさわしい赤くてでっかい月が上がって来た。今年の実際の「スーパームーン」は8月31日の満月なんだが、9月29日の中秋の名月もほぼ同じくらいのでっかい満月になるんだよね。まあ、その前後も含めて今月から11月くらいまでは、そこそこでっかい満月が楽しめるという訳だ。涼風の吹き渡るバルコニー(ベランダじゃないよ)に出て、月姫さまに一献差し上げながらしばしその美しいお姿を楽しませてもらったよ。

 ということで、今宵はもう何もする気がしない(笑)。夕餉は故郷釧路直送の秋刀魚の蒲焼き(冷凍)で済ませることにしたよ。これも文句なく美味いんだけれど、本音をいうとたまには鰻の蒲焼き(国産)も食いたいんだよね。まあ、先立つものがないので、思うだけなんだが・・・(笑)。




第二章 エンドロールで幕開けだ お楽しみはまずラーメンから  (まるひら銀水)




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Cheer Up, Daydream Believer! ── 新・夏待日記 令和五年六月三日(土)

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さえき奎(けい)
風薫る空に幻の日現る #4「風薫る空に幻の日現る #4」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/500s, ISO100, WB:Daylight
 先日ご紹介させていただいた、五月初旬に出現した左右両幻日の右幻日部分のアップ画像だ。この幻日画像のウリは、上部タンジェントアークから分岐するように22度ハロ(内暈)が見えているんだが、それを右斜め上方向から飛行機雲が横切っているところなんだよね(笑)。「飛行機雲ってどこにあるの?」と思ったあなた、中央付近にスピロヘーターみたいなニョロニョロが見えませんか(笑)。本当はここに微かな飛行機雲の影も出ているんだが、ちょっと分かりにくいので今の話は無視してやってほしい(笑)。

 さて、フォロワー・読者諸兄姉の皆様からご心配いただいた、昨夜関東地方を襲った線状降水帯についてだが、当初の予測より発生位置が南寄りにずれたようで、俺のところ(埼玉県北部地方)では少々強い雨は降ったが特段どうということもなかった。一方、線状降水帯の直撃を受けた東京・千葉・神奈川の南関東三都県では、台風2号の影響もあって風雨ともかなり激しかったようだ。「線状」というくらいだから影響のあるのはごく狭い範囲なので、ちょっとした位置関係で状況はまるで違って来るんだよね。関東地方のみならず、西日本方面から東海地方にかけて今回の線状降水帯の被害に遭ったには心よりお見舞い申し上げたいと思う。

 今朝は久々にお布団読書を楽しんだ。滞留する一方の未読歌集や結社機関誌・月刊誌を片付けるつもりでいたんだが、結局そちらはさらっと拾い読みしただけで"午後プラン"に回すことにして、後はコミックを集中的にやっつけた(笑)。愛読している『峠鬼』『カラ家の古書暮らし』『アリスと蔵六』の最新巻に、そちらの"アリス"とは全然無関係の『アリスさんちの囲炉裏端』全4巻を一気読みしてしまった。佳作だと思うんだが、ちょっと消化不良気味の収束なんだよね(体よく"打ち切り"ということだったのかも知れん)。おそらく最近の読者というか若者は、こういうゆるゆるとした展開やストーリーは望んでいないんだろうな(笑)。午後からは陽も射して来たので、窓を全開して爽やかな北海道サマーの涼風を部屋に導きながら恒例の昼酒モードに突入、午前中の続きの歌集と結社機関誌・月刊誌をお机読書に勤しんだ(笑)。




白昼夢 君が差し出す弁当の蓋を開けたら暮鳥の詩集  (まるひら銀水)




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あつらえたような黄昏 ── 新・夏待日記 令和五年六月二日(金)

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さえき奎(けい)
黄昏発黄泉(こうせん)行 第12便「黄昏発黄泉(こうせん)行 第12便」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/250s, ISO100, WB:Daylight
 五月も終わりに近いある日の黄昏時、高積雲(ひつじ雲)の雲塊の縁に沿うように飛行機が航跡トレイルを曳いて行くのが見えた.。飛行機雲だけじゃない。夕陽のポジションといい、雲と空のコントラストといい、まるであつらえたようなフォトジェニックな光景に、カメラを抱えてあたふたとバルコニーに飛び出して20カットほど撮った。

 さて、台風2号に刺激された梅雨前線が猛威を奮っている。近畿地方から東海地方、関東地方にかけては線状降水帯が発生して、激しい雨が降り続いているそうだ。この影響で、東海道新幹線は東京駅~名古屋駅間の運転を中止したとのこと。気象庁の高解像度降水ナウキャストを確認してみたら、線状降水帯が狙ったように東海道ベルトラインに沿って伸びているんだよね。当該地方にお住まいの皆様におかれては、どうか十分な警戒をお願いしたいと思う。某気象情報サイトの予報では俺のところ(埼玉県北部地方)でも、今夜半前後に「豪雨」(1時間当たり21mm超の降水。但し、気象庁の予報用語では「強い雨」(どしゃ降り))なんてマークが出ているんだよね。あの忘れもしない「平成27年/2015年9月関東・東北豪雨」の恐怖を思い出してしまったので、念のために家の全ての雨戸を閉めておいた。

 雨は明日の午前中一杯は降り続くようなので、これはもう久々にお布団読書三昧で行くしかないだろう(笑)。ただ、明日の午後からは急速に天気が回復して、その後数日は好天が続くらしい。ということは、当地の梅雨入りもまだまだ先だということなので、この予報が的中することを祈るばかりだ。




じゅんちゃんと君がもやっと溶けて行くひたすらガスる塘路湖の径  (まるひら銀水)




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シュッとした巻雲は好きですか? ── 新・夏待日記 令和五年六月一日(木)

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さえき奎(けい)
シュッとした巻雲は好きですか?「シュッとした巻雲は好きですか?」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/125s, ISO100, WB:Daylight
 過去記事で散々ご紹介しているように、一口に「巻雲」(すじ雲)といってもいろいろある。気象の図鑑や雲のガイドブックなどに巻雲の典型として必ず載っている鈎状巻雲だけが巻雲じゃないんだよね。というか、鈎状巻雲は巻雲の中ではむしろレアな部類になるということは是非覚えておいてほしいと思う。巻雲の中でもシュッとした巻雲って、鈎状巻雲と毛状巻雲くらいだからね。まあ、それはそれとして、本日のトップ画像はぎりぎり鈎状巻雲の仲間に入れてやってもいいんじゃないだろうか(笑)。

 ところで、昨日から長野県高山村の「緑霞山宿 藤井荘」で行われていた渡辺明名人に藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせて六冠)が挑戦する第八十一期七番勝負第五局は、後手番の藤井竜王が94手で渡辺名人を下し、通算成績4勝1敗で名人位を奪取した。20歳10ヶ月での名人位獲得は、谷川浩司十七世名人が保持していた21歳2ヶ月を40年ぶりに更新する前人未踏の史上最年少名人記録なんだよね。さらに、名人位の獲得によって合わせて七冠保持者となり、羽生善治九段が25歳4ヶ月で達成した記録を更新するとともに史上2人目の快挙となった。

 将棋の八大タイトルの中でも竜王位と名人位は別格で、竜王や名人が他のタイトルを保持していたとしても公式には・・・・「竜王」あるいは「名人」とのみ呼称・表記され、例えば「竜王・王位」や「名人・王将」などと呼んだりはしない(但し、新聞などにおいて各紙が自ら主催するタイトル名を優先的に、あるいは単独で呼称・表記することは普通に行われている)。そして竜王・名人の両タイトルを同時に保持する場合に限って特別に「竜王・名人」と呼称・表記されることになっている。ちなみに「竜王・名人」に同時に在位した棋士は、羽生善治(2回)、谷川浩司、森内俊之(2回)、豊島将之、藤井聡太の5名だけなんだよね。ということで、藤井聡太竜王・名人(王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせて七冠)が残すタイトルは「王座」のみとなった。

 それにしても、名人位を獲得した対局場となったのが、長野県高山村の老舗旅館「藤井荘」だったというのも何か因縁めいたものを感じると思わないか(笑)。俺は第五局の対局場が「藤井荘」だと知った時から、絶対にここで決まると信じていたよ(笑)。ということで、祝杯で既にへべれけになってしまったみたいなんだよね。大変申し訳ないが、今宵はこれで失礼(笑)。




「じゃ、またな」と似非ランブリンボーイさん未練たらたらドア探すふり  (まるひら銀水)




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May Wind / 五月の風 [ストリートピアノの調べに乗って ── サラ・ティーズデールの詩を訳してみる 第12回]

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さえき奎(けい)
五月の風 ── VHFアンテナのある空景 (その59)「五月の風 ── VHFアンテナのある空景 (その59)」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/125s, ISO100, WB:Daylight
 五月の梅雨入りをなんとか免れた関東地方は、今日も爽やかな北海道サマーの一日だった。早いもので、その五月も今日が晦日となってしまった。先日掲載したクリスティーナ・ロセッティの"May / 五月"に続いて、本日は逝ける五月への鎮魂の意味を込めサラ・ティーズデールの一篇を拙訳にてご紹介させていただきたいと思う。(参照:May / 五月 ── クリスティーナ・ロセッティの詩を読んでみる 第9回



"May Wind"

Sara Teasdale

I said, "I have shut my heart
As one shuts an open door,
That Love may starve therein
And trouble me no more."

But over the roofs there came
The wet new wind of May,
And a tune blew up from the curb
Where the street-pianos play.

My room was white with the sun
And Love cried out in me,
"I am strong, I will break your heart
Unless you set me free."



「五月の風」

サラ・ティーズデール

私は言った「ドアを閉め切るように
私は心を閉ざしたのよ。
その愛はもうおしまいなの。
これ以上私を苦しめないで」

けれども屋並の向こうから
五月のみずみずしい風が吹き渡り
舗道に置かれたストリートピアノは
高らかに調べを奏でていた

日射しに室内へやは明るく浮かび上がり
その愛が心の内で叫んでいた
「私は強いの。出してくれないのなら
あなたの心をこじ開けてやるから」



(さえき奎 訳)


 前回ご紹介した"The River / 川の嘆き"と同様に、サラの多くの作品に共通するモチーフだと思う。彼女は相思相愛だった恋人(終生プラトニックな関係だったといわれている)とは結ばれず、結局別の男性の求婚を受け入れたが、この結婚は不幸な結末を迎えている。その2年後にかつての恋人は自死し、サラもまたその後を追うように自らの命を絶っている。この一篇は、愛に対する願望なのか、渇望なのか、あるいは希望なのか・・・。詩歌句は読まれた瞬間から読み手のものとなるので、皆様のご判断にお任せしたいと思う。


  第11回へ戻る : The River / 川の嘆き [今はもう海水のように苦々しい ── サラ・ティーズデールの詩を訳してみる 第11回]   


  次回へ続く : 掲載時期未定  



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ソラの神様はツイストドーナツを召し上がる ── 続々・夏待日記 令和五年五月三十日(火)

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さえき奎(けい)
ソラの神様はツイストドーナツを召し上がる「ソラの神様はツイストドーナツを召し上がる」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/500s, ISO100, WB:Daylight
ツイストドーナツのフォルム上部右雲端部に微かな彩雲を生じているのがお分かりいただけるだろうか。

 本日のトップ画像は、5月初旬の強風が吹き荒れた日に撮影した中から一葉ご紹介させていただきたいと思う。竜巻や漏斗雲(竜巻の卵)とは発生原理的にも全く別物なんだが、風が強い日に雲がねじれることは割とよくあることなんだよね。もう一例ご紹介させてもらえれば、こんな感じの雲みたいにね(笑)。もちろん、地震雲などというカルトな与太話とは全く無縁の現象だよ(笑)。まあ、風の強い日は、ついレンズ雲や吊るし雲にばかりに目が行ってしまうんだが、是非こんな"ツイストドーナツ雲"にも注目してやってほしいと思う(笑)。

 さて、昨日の梅雨入りをかろうじて免れた関東地方は、午前中雲が多くどんよりとしていたんだが、午後からはすっかり晴れ上がって夏日の暑い一日となった。しかも陽が落ちると涼風が吹いてきて、"北海道サマー"の爽快な宵だった。予報では明日もほぼこんな感じの天気らしい。なるほどね。だから梅雨入りを見送ったのか・・・。やるじゃない、気象庁サン(笑)。西日本方面にお住まいの皆様には申し訳ないんだが、何とか5月中の梅雨入りは回避出来そうな雰囲気になって来た。まあ、遅かれ早かれ今週中には梅雨入りするだろうし、気分の問題と言ってしまえばそれまでなんだが、なんだかほっとしたよ(笑)。

 ツイストドーナツって、子供の頃はそんな洒落た横文字ではなくて"ねじりドーナツ"などと呼んでいたが、よく食べたな。もっとも俺としては、故郷の名物である"ぺったんこ餡ドーナツ"(もちろん売っているのは「こし餡」オンリーで、つぶ餡などというバリエーションは端から存在しない)の方が百倍以上好きだったよ(笑)。残念ながら、現在は諸般の事情によって、どちらも召し上がることは御法度な俺であった(笑)。でも、今目の前に"ぺったんこ餡ドーナツ"を出されたら、無意識のうちに頬張っていると思う(笑)。




スクリーンの余熱帯びたる顔も手も話も火照りラーメンぬるし  (まるひら銀水)




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桔梗草の季節 ── 続々・夏待日記 令和五年五月二十九日(月)

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さえき奎(けい)
桔梗草の季節「桔梗草の季節」 Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f8, 1/60s, ISO200, WB:Daylight
 今年も自然豊かな(モノは言い様だね)我が家の庭に桔梗草が咲いてくれた。本当は昨日が初見だったんだが、咲いていたのが一輪だけ、しかもあまり美形ではなかったので撮影はパスさせてもらったんだよね(笑)。今朝リビングの雨戸を開けてみたら、あちこちに十数輪咲いていた。朝から生憎の雨模様だったんだが、雨間を狙って庭に出て数カット撮ってみた。うーん、毎年この季節になると後悔しているんだが、100mmマクロを売っぱらうんじゃなかったよ・・・。まあ、それはそれとして、例年のようにこの花のプロフィールを簡単にご紹介させていただきたいと思う。

キキョウソウ
(桔梗草、キキョウ科キキョウソウ属の一年草。学名:Triodanis perfoliata, 英名:Common venus' looking-glass)

桔梗草という名称は、桔梗と花の色合いが似ていることによる「あやかり名」ではなく、れっきとした同科同属の植物である。俗にダンダンギキョウ、ハキダメギキョウなどとも呼ばれる。北アメリカ原産で、明治時代に園芸用に移入栽培されていたものが野生化した「逸出帰化植物」である。近縁種に同科同属で同じく逸出帰化植物の「ヒナキキョウソウ」があり、在来種のキキョウ科ヒナギキョウ属の「ヒナギキョウ」もよく似た花を咲かせる。花言葉は「優しい愛」 「人当たりがいい」 。


 我が家の庭での初見日を辿ってみると、一昨々年さきおととしが5月31日、一昨年が5月28日、昨年が6月2日、そして今年が5月28日だったから、この花の開花日はほとんどブレがないんだよね。初めて見かけた年にはわずか数本だったものが、毎年どんどん増えて昨年は50本超となった。今年はもう最初から数えるのを諦めたよ(笑)。今季は早目のお出ましだった夕化粧も毎日十輪ほどの花を咲かせてくれているので、しばらくは青紫とピンクのアンサンブルを楽しめそうだ。

 さて、気象庁によると、本日5月29日、九州北部・四国・中国・近畿・東海が「梅雨入りしたとみられる」と発表したそうだ。過去記事でも書いているが、あくまでも「梅雨入りしたとみられる」であって「梅雨入り宣言」じゃないからね(笑)。関東地方も朝からどんよりと雨模様だったので、一緒に「みられる組」の仲間入りをさせられたとしても誰からもクレームをつけられることはないと思うんだが、週半ばに日射しがあるとの予報があって「見送り」ということになったらしい。南九州が外されたのも、おそらくそんなところなんだろうな。まあ、今回は免れたとしても、現実のお天気がこうだからね。どのみち今週中には梅雨入りしちゃうんだろうな・・・。ここまで来たら、もうどうでもいいや(笑)。




最初からガチで君は女神様 とりあえず僕はハインライン読む  (まるひら銀水)




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May / 五月 ── クリスティーナ・ロセッティの詩を読んでみる 第9回

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さえき奎(けい)
Ah, Pleasant May!"Ah, Pleasant May!" Canon EOS 5Ds R, EF24-105mm F4L II IS USM, f11, 1/250s, ISO100, WB:Daylight
 本日は、敬愛するクリスティーナ・ロセッティの作品から「逝ける五月への鎮魂」として"May"(五月)というタイトルの一篇をご紹介させていただきたいと思う。前回掲載の"Another Spring"(また来る春)と同様にクリスティーナが20代半ばの頃の作品なんだが、彼女の死生観が垣間見えるような美しくも切ない一篇なんだよね(参照:Another Spring / また来る春 ── クリスティーナ・ロセッティの詩を読んでみる 第8回)。少々長くなるが、羽矢謙一氏、橋川寿子氏、入江直祐氏、三者三様の名訳を読み比べ、味わっていただければ幸いだ。

 例によって拙訳を載せてみようという無謀な考えもしないでもなかったんだが、思い止まった。いくら俺だって、そのくらいの理性と分別は持ち合わせているんだよね(笑)。


"May"

Christina Rossetti

I cannot tell you how it was,
But this I know: it came to pass
Upon a bright and sunny day
When May was young; ah, pleasant May!
As yet the poppies were not born
Between the blades of tender corn;
The last egg had not hatched as yet,
Nor any bird foregone its mate.

I cannot tell you what it was,
But this I know: it did but pass.
It passed away with sunny May,
Like all sweet things it passed away,
And left me old, and cold, and gray.



「五月」

クリスティーナ・ロセッティ

どんなだったか言えないの
だけど私は知っている
五月は生れたばっかりで 晴れわたった五月の空に
そよ風の吹く日のことだった
まだひなげしは麦の葉の
あいだで生れていなかった
最後の卵も まだかえってはいないので
鳥はみな その連れ合いのそばにいた

何であったか言えないの
だけど私は知っている
陽気な五月と連れ立って 楽しいすべてと連れ立って
過ぎ去って行ったあのことを
残った私は大人になって 冷たくなって 味気ない



(羽矢謙一 訳)

出典:羽矢謙一著 『また来る春に会えるなら ロセッティ詩集』所収 (サンリオ 昭和56年/1981年刊)


「五月」

クリスティーナ・ロセッティ

どんなだったか言えないけれど
でもこれだけは知っている。それがやって来たのは
明るく風のそよぐ日
五月もまだ早いころだった。ああ 美しい五月!
柔らかい麦の穂のあいだに
芥子けしの花もまだ萌えいでず
最後に生まれた卵もまだかえらず
一羽も つがいの鳥を残して死んではいなかった。

なんであったか言えないけれど
でもこれだけは知っている、過ぎ去ったことだけは。
晴れた五月とともに、
すべての美しいものとともに過ぎ去った。
いまや老いて凍える白髪の私を残して。



(橋川寿子 訳)

出典:橋川寿子著 『クリスティーナ・ロセッティ 叙情詩とソネット選』所収 (音羽書房鶴見書店 平成23年/2011年刊)


「五月」

クリスチナ・ロセッティ

いかにと問はば 語らざれども
心に知るは ありしとぞ――
うらら日照りの そよ風の
五月さつきたのしき はじめ頃、
浅黄の麦の葉隠れに
罌粟けしの若芽は まだえず、
かへりおくれし卵抱く
とり妻鳥つまどりむつみあふころ。

何をと問はば 語らざれども
心に知るは 消えしとぞ。
五月晴空 よろこびの
みな去る頃に消えゆきて、
わびしきわれは 老いこごえつつ。



(入江直祐 訳)

出典:入江直祐著 『クリスチナ・ロセッティ詩 抄』所収 (岩波書店 昭和15年/1940年刊)


  第8回へ戻る:Another Spring / また来る春 ── クリスティーナ・ロセッティの詩を読んでみる 第8回  


  次回へ続く:掲載時期未定  



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